5日目

2015.3.1  5日目


  今日は丁先生のお家で目覚めました。朝リビングの方へ行くと、先生のお母さんが中国の団子の作り方を教えてくださいました。日本の白玉の中にゴマの餡を入れました。簡単な中国語で説明してくださったので、理解することもでき、より打ち溶けられたような気がして嬉しかったです。朝食はその団子と、南方で食べられるという、肉まんみたいなものの皮がお餅になっているもの、そして食パンにピーナッツバターを塗って食べました。どれもとても美味しかったです。おもてなしをたくさんしていただいて、お腹がいっぱいなのかもわからなくなっていました。その後すぐに焼き餃子を作るためのニラのした処理を行いました。

 私も実家にいる頃は祖母や母と一緒に野菜をしたことがありましたが、言語は違えど、同じ感覚で作業を進めていきました。その間も会話を続け、だんだんと中国語を話すのに抵抗がなくなったような気がしました。間違えてもいいから話してみようという気になりました。しかしまだまだ聞き取れない単語がたくさんあるので、まずはその関門があるなと改めて実感しました。


  下処理が終わったところで、今度は先生のおばさんのお家を訪れることになりました。まだ少し緊張していましたが、こちらでもあたたかく出迎えていただいて、本当に嬉しかったです。ドイツの会社で働かれているそうで、少しドイツ語を話してくださいましたが、”Sprechen wie Deutsch?”とは聞き取れても返す言葉が見つからず、ここでドイツ語での会話は終わってしまいました。少し残念でしたが、中国語に集中しようと気持ちを切り替えました。おばさんのお家はとても広くてとても綺麗でした。見るからにお金持ちな感じがしました。もちろん先生のお家も変わらないくらい広くて綺麗です。ここではいろんな話題が飛び交い、頭をついて行かせるのが大変でしたが、そのおかげで听力(聴解力)もついてきたような気がしました。英語と中国語を交えてたくさん話しかけてくださって本当に嬉しかったです。この時も先生と奥さんのサポートのおかげで会話をすることができました。いろいろな珍しいものを食べさせてもらいました。ドイツのチョコレートや蘇州のナツメが入ったお菓子やナツメ、ドライクランベリーなどを食べました。皆さんがドライクランベリーのことを梅だと言っていたのは未だになぜだかわかりませんが日本ではほとんど食べないものばかりだったので、新鮮でした。

 また、おじさんは海外に行くのが趣味だそうで現地で集めてきたお宝をたくさん見せてくれました。陶器や像、絵などです。あまり見たことがないものばかりで凄かったです。またおばさんは膝の人工骨のようなものを作る会社で働いているようで、その技術についても教えていただきました。中国でこのようなものを見るとは思っていませんでしたが、ここまでで感じるには、北京にはたくさんの技術が集まっているなということです。また、お家に伊藤園の緑茶があったので、みんなでいただきました。昔家庭科で習ったことを思い出しながら私が皆さんのお茶を注ぎましたが、急須がないと難しいということを初めて知りました。興味深かったです。最後に写真を撮って帰りました。すごくいい方達だったので安心して訪問できました。




 帰ってくると今度は焼き餃子作りに取り掛かりました。皮と具を用意していただいて、お父さん、奥さん、先生と私で餃子を包みました。お父さんが餃子の皮を全部止めない新しい作り方を教えてくださり、楽しく包んでいきました。少しは上手になったと思います。来週仲間全員で先生のお家で餃子パーティーをするのでその時に発揮できればいいなと思います。お母さんが餃子を全部焼いてくださいました。テーブル等を用意するときも私に仕事をくださり、家族に仲間入りできたようで嬉しかったです。準備ができると、ワインで乾杯しました。みなさんが“迎,迎!と言ってくださったのは本当に嬉しかったです。少し泣きそうになったほどです。素晴らしい環境と素晴らしい方々に感謝して食事を始めました。餃子の他にも豚の耳と胃袋を出してくださいました。沖縄で食べたものとはまた違っていて、さっぱりしていたのですごく食べやすかったです。話題も少なくなってきてしまって、前ほどは話さなくなりましたが、少し矛盾するかもしれないけれど、馴染めてきているような気がして居心地が良かったです。

  少し休憩をして丁先生の父方のおばあさんのお家へ行くことになりました。もう緊張することはなく、今度はどんな方に会えるのだろうと楽しみでした。丁先生と奥さんとバスで向かいました。お父さんは電動自転車で先に行かれたそうでした。お家に着くと毛沢東の像があり驚きました。中国の防衛大学の中にあるとのことでした。門を通る時は日本語を慎むようにと言われた時は日本と中国の軍事的な問題が頭をよぎりました。今まではあまり気にしていなかったけれど、日本人の私が入ってもいいのかと一人静かに葛藤していました。お家は今まで行った中で一番大きかったです。8部屋以上あって驚きました。遺影が飾ってありましたが、先生のおじいさんは日中戦争時代からの軍人で、先生のお父さんのお姉さんにあたるおばさんとその旦那さんも今は退職されましたが、空軍だったそうです。その息子さんも今空軍の軍人で尖閣諸島問題の時も出動されたそうです。そんなこてこての軍人一家を訪ねたことは私にとってとてもいい経験になりました。ここでもあたたかく出迎えてくださいました。奥から97歳のおばあさんが出てきてくださったときには私の曾祖母を思い出しました。



 片目を失明し、耳も補聴器なしでは聞こえないような状態でしたが、笑顔で出迎えてくださいました。丁先生が話している横でお話を聞かせていただきましたが、本当に先生が来てくださったことを喜んでおられて、私の話もたくさんしてくださいました。おばあさんとおじいさんの若い時の写真を順に見せていただき、30歳の時の軍服を着たお二人の姿を見たときは大きな衝撃がありました。写真を見た後、おばあさんが「これまでの人生は本当にいろいろあって大変だった。」と言われたときにはもう涙をこらえることはできませんでした。まさに日本と戦争していたときに軍人だった方とお会いし、あたたかく出迎えてくださって、握手をし、お話も聞かせていただいたことは本当に大きな経験でした。もう何年も経っているからと、丁先生のお父さんが日本語を勉強することや先生が日本で働くことも快く許してくださったそうです。その心意気にすごく感動しました。

 あとで先生と話したのですが、やはり、日本と中国は近くにあってお互いに影響しあって存在しています。戦争なんかで日本人と中国人の心のつながりを切ることなんてできないし、戦争は誰一人として望んでいないということがわかりました。時代の流れによっては戦っていたかもしれない方々と私は笑顔でお話をしました。日本人も中国人も同じように平和を願っており、普通に生活しています。人であることに間違いはないし国民の思いを絶対に無視してはいけないと思いました。最後に、おじいさんの遺影に挨拶をすることになりました。日本式でいいからと私もさせていただきました。先祖を思う気持ちは日本人も中国人も変わらないということもわかりました。交通マナーやトイレの使い方が自由すぎる事で有名な中国かもしれませんが、日本と同じように目上の方に感謝したり、お客さんに飲み物や食べ物で歓迎したりもします。中国にも立派な礼儀があるということを初めて知りました。中国の家庭を訪れないとわからないことだったと思います。本当に貴重な経験をさせていただき嬉しいです。

 帰る前に先生のお父さんの電動自転車の後ろに乗せてもらいました。大学の中を案内してもらって、先生たちとバスで帰る予定でしたが、先生たちが見つからず、先生のお家まで後ろに乗せてもらうことになりました。手袋を貸してくださり、本当に快適でした。しかし、中国の交通マナーを目の前にし、少し怖くなりました。でも、お父さんがたくさん配慮してくださったおかげで無事に帰ることができました。

 家に帰ると、先生も奥さんもいない環境で会話をしました。“我重不重?”と尋ねたかったのですが、伝わらなかったので、手に文字を書いて伝えました。“不不,你很と言ってくださったときは少し嬉しかったのですが、少し申し訳ない気持ちにもなりました。そのあと、お母さんと筆談をしました。聞き取れてはいたのですが、お母さんが本当に意味を理解しているのか心配してくださったのです。

 お腹が空いていると言ったら驚かれました。先生たちが帰ってきて夕食の準備が始まりました。今日はお父さんが作ってくださいました。中国は男女平等で男性が家事をすることも多いけど、お金は妻や子供に持っていかれてしまうのだよとお父さんが教えてくださいました。夕食はお昼に比べるとすごくヘルシーで皆さんが食べた量も少なかったです。
夕食の後、散歩に行くことになりました。このようなことをすることによって一家団欒の時間を充実させているのだなと思い、あたたかい気持ちになりました。私も将来実践してみたいです。ところが、地下の車庫に降りた時、先生のお家専用の駐車場に見たことがない車が止まっていました。お母さんは怒って電話をしました。番号を間違えていたかもしれないとまた見に行きましたが、やはり先生のお家のもので、すぐにきてもらえるように連絡されていました。珍しいものを見ることができましたが、中国の方が起こった時の勢いの激しさを目の当たりにし、普段の会話との違いを発見することができたので、これも一つの勉強になりました。帰ってからは果物を食べながらお話ししました。明日帰るのかと思うと少し寂しくなりましたが、今日は深い話がたくさんできたので本当に嬉しかったです。

 丁先生のお家に来て気になったことが二つあります。それはバスルームのドアの使い方と部屋着の使い方です。ドアは内側から見るとドアの部が外れるようになっていました。ドアを閉めるときはそのまましめて開ける時にそのノブを使って開けます。今までこういうものは使ったことがなかったので面白かったです。部屋着については、このお家にいた人はみんな外出から帰ってくると、すぐに部屋着に着替えます。理由は暖房で部屋が暑いからだということでした。また一つ違いを発見できました。

  明日は5:30に起きて大学に戻ってそのまま授業です。ルームメイトが帰ってきているのかも気になりますが、とりあえずは授業に集中しておこうと思います。